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神の国に入る(1)


 イエスはまず神の国へ入れと言っています。これは普通の人、民衆に向かって言っているのです(マタイによる福音書6・33)。またパウロも、「尋ねて来る人を皆迎え入れ、神の国を証し、神の国を述べ伝えた」とあります(使徒行伝28・23、31)。誰でもその気になれば神の国に入れるのです。

 一体、神の国とは何か。イエス、ヨハネ、パウロ以降、地球上から神の国を述べ伝える人がようとして消えてしまったのです。二千年の間、世界に神の国を述べ伝える人がいませんでしたが、ようやく東の果ての日本において、それが再び輝き出したのです。

 命を見つけるのです。命を見つけてそちらへ鞍替えしてしまえば、死から脱出できるのです。現世にいる間に命を見つければ、完全に死から逃れることができるのです。良き良心に従って、霊(神の御心)によって歩めばこれができるのです。永遠の生命の実物を、この地上で感じることができるのです。そうして、生きていながらパラダイスに入ることができるのです。これをイエスは「水と霊とによって、新しく生まれて神の国に入れ」と言っています。

 現世に生きていながら神の国に入るのです。死んでから行くのではありません。キリストや仏教は、死んでから行ける、死んでから極楽へ行けると言っているのです。キリシタンバテレンを信じる信者が、死んだら天国に行けると言ったので、信長は「そんなに天国へ行きたいか。それなら今行かせてやる」と言って、その場で切り殺したという話があるのです。宗教はこういうばかな事を天下で堂々と言っているのです。

 神の国は、目の黒いうちに現世にいる間に入るのです。入れるのです。この世に生まれたらここまで行こうと決心するのです。これが現世に生まれてきた唯一の目的です。これはとても大きい喜びです。神を喜ぶ喜びです。皆様の本心、本願はこれを求めているのです。生きていながら、パラダイスに入ることを切に求めているのです。

 現在の文明には一切目的がありません。学問にも目的がないのです。科学にもありません。生活を便利にしようという目的はあります。生活を便利にしてどうするか分からないのです。

 人間の生活目的、存在目的がはっきりしないままの状態で、科学がいくら発展してみたところでしかたがないのです。科学の発展が原子爆弾を造るところまで突き進んでしまったのです。

 私は科学は無用だというのではありません。科学は科学としての意味があるのです。ところが、科学が何をしようとしているかということを、科学者は考えていないのです。これは科学だけではなくて、法律も、哲学も、政治、経済もそうです。

 文明に目的がありませんから、学問にも目的がないのです。アメリカの大統領も、ロシアの大統領も目的を持っていないのです。アメリカの大統領として政治をすることが、目的のように考えているだけです。これは人生の理想とは違うのです。

 皆様方も現在の目的はあるでしょう。どこかへ旅行をしたいとか、家を購入したいとか、子供を大学へ入れたいという近視眼的な目的はあるでしょう。

 そういう目的ではなくて、生きていること自体の目的です。全世界の人間が一人も本当の目的を持っていないのです。目的を持っていない人間ばかりが集まって、現在の文明ができているのです。だから文明も目的を持っていないのです。

 人間がこの地球上に生きていても何もならないのです。命という点、人間存在の真実という点から考えますと、何にもならないのです。

 人間は生きていますけれど、何のために生きているのか返事ができないのです。これが人間が生きていないことの最も簡明な証拠になるのです。

 目的を持っていないということが、宇宙が認めていないことになるのです。もし宇宙が現在の人間を認めているとすれば、人間に目的がないというばかなことはあり得ないのです。ところが現実の人間は目的がないのです。

 日本という国は、国家目的を持っていないのです。人間も社会も、世界全体が目的を持っていないということは、実はそういう人間は存在していないということなのです。

 人間は大変な間違いをしているのです。誰もが自分がいると思っているが、自分はいないのです。自分がいるのではなくて、生かされているという事がらがあるだけなのです。

 リビング(living)ということがあるのです。これはとてつもなく大きいものです。ところが人間はリビングに目を向けようとしていないのです。

 人間に目的がないということは、死んでいるということなのです。死んでいる人間が地球という住み処に巣くっているだけです。命を考えないで生物がいるだけなのです。

 ところが人間は精神構造という恐ろしいものを持っているのです。実は、人間という動物がいるのではないのです。人間はただの生物です。

 人間の中にある精神構造と人格構造という驚くべきものがあるのです。これが人間という格好で顔を出しているのです。これが分かれば驚くべき世界が分かってくるのです。

 人間が地球に生まれた目的は、生きることを見つけるためです。生きることを見つけるために生きているのです。

 こういうことを難しいと考えてはいけないのです。皆様が常識にこだわっているから難しいと思うのです。

 皆様の常識は死んだ人間の考え方なのです。または死ぬに決まっている人間の考え方なのです。学理学説は死んだ人間が残した理論ばかりです。死んだ人間ではない理論は、人間社会の中には一つもないのです。すべて死んだ人間の理屈が残っているのです。

 皆様はそれを勉強して学問をしたと思っているのです。死んだ人間の思想を飲み込んだだけなのです。

 科学も、哲学も、法律も、宗教も全部死んだ人間が残したことばかりです。ノーベル賞をもらった人も死んだのです。

 現代の人間社会が、目的を持っていないことをよく考えるべきです。これを考えないのは、皆様が自分の精神を知らないからです。皆様は自分の人格を知らないのです。

 皆様の理性と良心は永遠の理想を求めています。ところが人間としての皆様は永遠の理想を考えない。目の前の利害得失だけを考えている。

 皆様は自分の精神構造、人格構造を自分で裏切っているのです。要するに、皆様はシビアーに考えないからいけないのです。常識と妥協しているのです。生活と妥協しているのです。人間の伝統と妥協しているのです。そうして現世で得をしようと考えているのです。そういう妄念を捨てるのです。

 人間がいるのが間違っているのではありません。人間がいるという考えが間違っているのです。自分がいるのではなくて人格があるのです。精神構造があるのです。人間という彪大な精神構造があるのです。

 これが宇宙存在の将来に対して、宇宙を完成するための驚くべきエネルギーになるのです。

 地球はすばらしい状態で完成されなければならないのです。宇宙完成、地球完成という大きな目的のために、皆様が協力しようという誠意があるかどうかです。

 自分のことは考える必要がないのです。初めから自分はいないのです。地球の完成というすばらしい大事業に対して、皆様方に本当の誠意があるかどうかです。

 理想を考えようとしない人間、命を見つけようとしない人間は生きていてもしょうがないのです。

 永遠が人間の霊魂の理想です。精神構造の本当の理想は永遠であって、生活ではないのです。

 日本の国を良くしようということとは違うのです。日本という国はあってもなくてもどうでもいいのです。もし日本が地球のために役立つのなら、日本があることは大変いいのです。ところが、日本人は日本のことだけを考えているのです。

 とにかく理想は地球が完成することです。現在の地球は、地震があり、砂漠があります。人間がどんどん死んでいく地球です。こんな地球は間違っているのです。

 人間は、地球完成という目的のために地球に生まれてきたのです。

(内容は梶原和義先生の著書からの引用)


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