先日、友人と話していたときに、故アーノルド・トインビーのことが出てきました。
ご存じのとおり、アーノルド・トインビーはイギリスの有名な歴史哲学者でしたが、日
本にも数回まいりました。非常に高い視野に立って、世界の歴史、政治を考えた人です
が、この人が、こういうことを言っています。
「アジアの人々、特に東南アジアの人々の考え方の中には、自然と人間が常に一体で
あるということがあります。ところがヨーロッパの人々は、そうではありません」
確かに私たち日本人は、子供の頃から、自然と人間とがひとつであるという風土の中
で生活しています。
コーロッパ人は、キツネ、タヌキ、猫や犬という動物の命と、人間の命とは、まった
く別のものと考えているようです。獣は人間に飼われるものである。飼われる命と、飼
う人間の命とは、位が違うというように、ヨーロッパ人は考えているのです。ですから、
ヨーロッパにはキツネつきがありません。
このように比較しますと、私たちが現在日本に生きているということは、ある意味で
非常に有難い、喜ばなければならないことだと思います。
アーノルド・トインビーでさえも、アジアの、自然と一体になっている人間が、うら
やましいと思っているのです。ところが、私たちは、案外そういうことがわからないよ
うです。
(内容は梶原和義先生の著書からの引用)